看護師の申し送り完全ガイド|失敗しない基本から効率化、未来まで徹底解説

看護師の申し送り完全ガイド|失敗しない基本から効率化、未来まで徹底解説

看護師の業務において、「申し送り」は患者さんの安全と継続的なケアを支える重要なプロセスです。しかし、新人看護師の方にとっては「何をどう伝えれば良いのか分からない」という不安を、中堅看護師の方にとっては「もっと効率的に、質の高い申し送りをしたい」という課題を、そしてベテラン看護師の方にとっては「申し送りのあり方自体を見直したい」という思いを抱えているかもしれません。

この記事では、看護師の申し送りについて、基本的な知識から実践的なスキル、さらには未来のあり方まで、あなたの経験レベルに応じた具体的な情報を提供します。この記事を読み終える頃には、自身の状況に合わせた申し送りの実践方法や改善策を理解し、自信を持って日々の業務に取り組めるようになるでしょう。

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目次

看護師の申し送りとは?基本から学ぶその重要性

申し送りの定義と目的

看護師の「申し送り」とは、勤務交代時や患者さんの転棟・転院時などに、担当看護師が患者さんの状態やケア内容、今後の治療方針などの重要な情報を、次の担当者や関係部署に正確かつ簡潔に伝える情報共有のプロセスです。

この申し送りの主な目的は、以下の3点に集約されます。

  1. 患者さんの安全確保: 患者さんの状態変化やリスク情報を確実に共有することで、医療事故の防止に繋がります。
  2. 継続看護の実現: 担当者が変わっても、患者さんへのケアが途切れることなく、一貫した質の高い看護を提供するために不可欠です。
  3. チーム医療の円滑化: 医師や他の医療スタッフとの連携を強化し、チーム全体で患者さんをサポートするための基盤となります。

申し送りは単なる情報伝達ではなく、患者さんの命と健康を守るための重要なバトンパスであり、看護の質を左右する要となるのです。

申し送りの種類と役割分担

看護師の申し送りには、様々な種類があり、それぞれの場面で伝えるべき情報や担当者の役割が異なります。

主な申し送りの種類は以下の通りです。

  • 勤務交代時の申し送り:
    • 日勤から夜勤、夜勤から日勤への申し送り: 最も頻繁に行われる申し送りです。患者さんの状態変化、実施したケア、内服状況、検査結果、特記事項などを伝えます。
    • 役割分担: 前の勤務者が情報を整理して伝え、次の勤務者が疑問点を質問し、情報を確認します。
  • 部署間での申し送り:
    • 病棟から手術室、検査室への申し送り: 患者さんの基本情報、術前・検査前の準備状況、アレルギー、既往歴、注意点などを伝えます。
    • 病棟から外来、リハビリテーション室への申し送り: 患者さんの状態、移動時の注意点、必要な介助などを伝えます。
    • 役割分担: 送り出す側の看護師が患者さんの安全に必要な情報を伝え、受け入れる側の看護師がその情報を基に適切な対応を準備します。
  • 転棟・転院時の申し送り:
    • 病棟からICU、HCUなどへの申し送り: 患者さんの詳細な病状、治療経過、現在のバイタルサイン、使用している医療機器、緊急時の対応などを伝えます。
    • 病院から他施設(介護施設など)への申し送り: 患者さんのADL(日常生活動作)状況、認知機能、内服薬、医療処置の有無、家族背景、退院後の生活指導内容などを伝えます。
    • 役割分担: 送り出す側の看護師が患者さんの全情報を網羅的に伝え、受け入れる側の看護師が今後のケア計画を立てる上で必要な情報を確認します。

これらの申し送りは、患者さんの状況やケアの継続性を確保するために、それぞれ異なる視点と情報量で実施されます。

申し送りが看護業務にもたらすメリット・デメリット

看護師の申し送りは、多くのメリットをもたらす一方で、いくつかのデメリットも存在します。これらを客観的に理解することで、より効果的な申し送りを目指すことができます。

メリット

  • 患者安全の向上: 重要な情報が共有されることで、医療事故やインシデントのリスクを低減します。
  • 継続看護の質の維持: 担当者が変わっても、患者さんの状態やケア方針が引き継がれ、一貫した質の高い看護を提供できます。
  • チーム連携の強化: チームメンバー間の情報共有が促進され、協力体制が築きやすくなります。
  • 看護師の精神的負担の軽減: 不安な点や疑問点を共有することで、一人で抱え込むリスクを減らし、安心して業務に取り組めます。
  • 新人看護師の教育機会: 先輩看護師の申し送りを聞くことで、情報整理の仕方や伝えるべきポイントを学ぶことができます。

デメリット

  • 時間的負担: 申し送りの内容が多岐にわたる場合や、人数が多い場合、多くの時間を要し、残業の原因となることがあります。
  • 情報伝達ミスのリスク: 伝達漏れや誤解が生じる可能性があり、患者さんの安全に影響を及ぼすことがあります。
  • 情報の重複や冗長化: 電子カルテなどで確認できる情報まで口頭で伝えることで、申し送りが長くなり非効率になることがあります。
  • 受け手の集中力低下: 長時間の申し送りは、聞き手の集中力を低下させ、重要な情報を見落とす原因となることがあります。

これらのメリットとデメリットを理解し、いかにデメリットを最小限に抑え、メリットを最大化するかが、看護師の申し送りの質を高める鍵となります。

失敗しない!看護師の申し送り実践ガイド

申し送りの基本的な流れと準備

新人看護師にとって、申し送りは特に緊張する業務の一つです。しかし、適切な準備と流れを理解することで、自信を持って臨むことができます。

申し送りの基本的な流れと準備は以下の通りです。

  1. 情報収集:
    • 電子カルテの確認: 患者さんの基本情報、既往歴、現在の診断名、治療計画、検査結果、医師の指示などを確認します。特に、前勤務からの変更点や新たな指示は重点的にチェックしましょう。
    • 看護記録の確認: 実施したケア内容、患者さんの反応、バイタルサインの変化、排泄状況、食事摂取量、訴えなどを確認します。
    • 患者さんの観察: 実際に患者さんの状態を観察し、表情、活気、皮膚の状態、点滴の状況などを確認します。患者さんとのコミュニケーションを通じて得られた情報も重要です。
  2. メモの整理:
    • 収集した情報を、申し送りに必要な項目に絞って整理します。後述する「効果的なメモの取り方」を参考に、簡潔にまとめましょう。
    • 特に伝えるべき重要事項(急変リスク、緊急対応、特記事項など)には印をつけるなどして、見落としがないようにします。
  3. 伝える内容の優先順位付け:
    • 申し送りで伝えるべき情報は多岐にわたりますが、すべてを詳細に伝える必要はありません。緊急性や重要性の高い情報から優先的に伝えるようにしましょう。
    • 「患者さんの生命に関わる情報」「今日あった大きな変化」「今後注意すべき点」などを上位に置きます。
  4. 申し送りの構成を考える:
    • SOAPやSBARといったフレームワークを活用し、情報を整理して構成を組み立てます。これにより、簡潔かつ網羅的に情報を伝えることができます。

これらの準備を丁寧に行うことで、自信を持って申し送りに臨むことができ、情報伝達の漏れやミスを防ぐことに繋がります。

効果的なメモの取り方・ノートの書き方

申し送りをスムーズに行うためには、効率的で分かりやすいメモの取り方が不可欠です。ここでは、申し送りに必要な情報を整理するためのメモ術とノートの活用法を紹介します。

  1. テンプレートの活用:
    • 自分なりの申し送り用テンプレートを作成し、常に同じ形式でメモを取るようにしましょう。これにより、情報収集の漏れを防ぎ、申し送り時に必要な情報を素早く見つけられます。
    • テンプレート例:
      • 患者氏名/年齢/性別/病室:
      • 診断名/既往歴:
      • 今日の経過(午前/午後):
        • バイタルサイン(変化点):
        • 症状(訴え、観察所見):
        • 実施したケア/処置:
        • 内服/点滴/検査:
        • 食事/排泄/ADL:
      • 特記事項/注意点:
      • 今後の計画/医師指示:
      • 家族からの情報/要望:
  2. キーワードと略語の活用:
    • 文章ではなく、キーワードや略語を使って簡潔にメモを取りましょう。例えば、「体温38.5℃」ではなく「T38.5」、「呼吸困難感あり」ではなく「呼吸苦+」のように記述します。
    • ただし、部署内で共通認識のある略語のみを使用し、自分だけが理解できる略語は避けましょう。
  3. 記号や色分けの活用:
    • 重要事項には「★」や「!」などの記号をつけたり、赤ペンで囲んだりすることで、視覚的に目立たせ、見落としを防ぎます。
    • 例えば、急変リスクのある患者さんには特定の記号を使うなど、ルールを決めておくと良いでしょう。
  4. 時系列での記録:
    • 患者さんの状態変化や実施したケアは、時系列で記録することで、経過を追いやすくなります。特に、急変時や状態が不安定な患者さんの場合は、時間ごとの変化を詳細に記録することが重要です。
  5. 余白の活用:
    • メモを取る際は、後から情報を追記できるよう、ある程度の余白を残しておきましょう。これにより、新たな情報が入った際にもスムーズに書き加えることができます。

これらの工夫を取り入れることで、申し送りの準備時間を短縮し、より正確な情報伝達が可能になります。

申し送りの構成要素と例文

申し送りを簡潔かつ網羅的に行うためには、情報の構成方法を学ぶことが重要です。ここでは、代表的なフレームワークであるSOAPとSBARを例に、具体的な構成要素と例文を紹介します。

SOAP(ソープ)

SOAPは、主に看護記録で用いられる情報整理のフレームワークですが、申し送りにも応用できます。

  • S (Subjective data:主観的情報): 患者さんの訴えや自覚症状、家族からの情報など、主観的な情報。
    • 例文: 「〇〇さん、昨夜から腹痛を訴え、特に食後に強くなるとのことです。吐き気も少しあるとおっしゃっていました。」
  • O (Objective data:客観的情報): 看護師が観察した所見、バイタルサイン、検査データ、医師の指示、実施したケアなど、客観的な情報。
    • 例文: 「バイタルサインは安定していますが、顔色はやや不良で、腹部全体に軽度の圧痛を認めます。午前中に医師に報告し、鎮痛剤を内服、その後は少し落ち着いています。食事は半分程度摂取されました。」
  • A (Assessment:アセスメント): SとOの情報から、看護師が判断した患者さんの状態や問題点。
    • 例文: 「腹痛の原因は特定できていませんが、食後の増悪から消化器系の問題が考えられます。疼痛コントロールは一時的にできていますが、継続的な観察が必要です。」
  • P (Plan:計画): 今後の看護計画や医師への報告、追加の検査など。
    • 例文: 「引き続き腹痛の有無と程度、性状を観察し、必要に応じて鎮痛剤を検討します。排便状況も確認し、変化があれば医師に報告します。」

SBAR(エスバー)

SBARは、特に緊急時や重要な状況変化を伝える際に、医師や他の医療スタッフとのコミュニケーションを円滑にするためのフレームワークです。

  • S (Situation:状況): 今、何が起こっているのかを簡潔に伝えます。
    • 例文: 「〇〇さん、今朝から急に呼吸困難感が増強し、SpO2が90%台に低下しています。」
  • B (Background:背景): 患者さんの基本的な情報、診断名、入院からの経過、これまでの治療内容など、状況に至るまでの背景情報。
    • 例文: 「〇〇さんは〇〇病で入院中で、既往に喘息があります。昨夜まではSpO2は95%以上で安定していました。今朝のバイタルサインは、体温37.2℃、脈拍100回/分、呼吸数28回/分です。」
  • A (Assessment:アセスメント): 看護師が状況と背景から判断した患者さんの状態や問題点。
    • 例文: 「呼吸音に喘鳴を認め、呼吸補助筋の使用も見られます。喘息発作の増悪、または肺炎の可能性も考えられます。」
  • R (Recommendation:提案): 今後どうしてほしいか、具体的な提案や依頼。
    • 例文: 「至急診察をお願いできますでしょうか。酸素投与量の増量や、吸入薬の追加を検討していただきたいです。」

これらのフレームワークを意識して申し送りを行うことで、情報の抜け漏れを防ぎ、聞き手にも伝わりやすい効果的な申し送りが可能になります。

よくある失敗事例と対策

新人看護師が申し送りで直面しやすい失敗事例と、その具体的な対策を解説します。これらのヒントを活用し、不安を解消して自信を持って申し送りに臨みましょう。

  1. 失敗事例1:情報漏れが多い、伝えるべき情報が抜けている
    • 原因: 情報収集が不十分、メモの整理ができていない、優先順位がつけられていない。
    • 対策:
      • チェックリストの活用: 申し送り前に確認すべき項目をリスト化し、漏れがないか確認する習慣をつけましょう。
      • テンプレートの活用: 常に同じ形式でメモを取ることで、必要な情報を網羅的に収集・整理できます。
      • 重要な情報のマーキング: 急変リスクや特記事項など、特に重要な情報には目立つように印をつけ、見落としを防ぎます。
  2. 失敗事例2:申し送りが長すぎる、冗長で何を伝えたいか分からない
    • 原因: 情報を絞り込めていない、電子カルテで確認できる情報まで口頭で伝えている、話がまとまっていない。
    • 対策:
      • SOAPやSBARの活用: フレームワークに沿って情報を整理し、簡潔に伝える練習をしましょう。
      • 「今日のポイント」を明確に: 各患者さんについて、今日一番伝えたいこと、注意してほしいことを最初に伝えるように意識します。
      • 「結論から話す」を意識: まず結論(患者さんの状態や変化)を伝え、その後に詳細な背景や経過を説明する流れを心がけましょう。
  3. 失敗事例3:質問にうまく答えられない、情報が曖昧
    • 原因: 自分の言葉で理解できていない、情報収集が表面的なものに留まっている、アセスメントが不足している。
    • 対策:
      • 「なぜ?」を考える習慣: 患者さんの状態変化や医師の指示について、「なぜそうなったのか」「なぜその指示が出たのか」を常に考えるようにしましょう。
      • 根拠に基づいた説明: 自分のアセスメントや判断には、必ず根拠(バイタルサイン、検査データ、患者さんの訴えなど)を添えて説明できるように準備します。
      • 不明点は事前に確認: 申し送り前に、疑問点や曖昧な点があれば、先輩看護師や医師に確認しておきましょう。
  4. 失敗事例4:緊張して声が出ない、早口になる
    • 原因: 経験不足、自信のなさ、完璧に伝えようとしすぎる。
    • 対策:
      • 深呼吸とリラックス: 申し送り前に深呼吸をして、気持ちを落ち着かせましょう。
      • ゆっくり、はっきりと話す: 意識的に話すスピードを落とし、聞き取りやすい声量で話すことを心がけます。
      • 練習を重ねる: 実際に声に出して申し送りの練習をしたり、先輩看護師に聞いてもらってフィードバックをもらったりするのも有効です。

これらの対策を実践することで、申し送りに対する不安を軽減し、着実にスキルアップしていくことができるでしょう。

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申し送りを「できる」に変える!効率化と質向上のコツ(中堅・リーダー看護師向け)

申し送りをスムーズに行うためのコミュニケーション術

中堅・リーダー看護師には、申し送りの内容だけでなく、伝え方にも工夫が求められます。スムーズな申し送りは、チーム全体の業務効率と患者安全に直結します。

  1. 聞き手の状況を考慮した話し方:
    • 忙しさや疲労度を察する: 申し送りを受ける側の看護師が、他の業務で忙しい、または夜勤明けで疲れている可能性があることを理解しましょう。
    • 簡潔さを意識: 重要な情報から先に伝え、詳細は必要に応じて補足する形を心がけます。電子カルテで確認できる情報は、口頭での説明を最小限に留めましょう。
    • 質問しやすい雰囲気作り: 申し送り後に「何か質問はありますか?」と問いかけるだけでなく、途中で「ここまでで不明な点はありますか?」と確認することで、聞き手が質問しやすい雰囲気を作ります。
  2. 質問への的確な対応:
    • 質問の意図を理解する: 質問された内容の背景や、聞き手が何を知りたいのかを素早く把握します。
    • 簡潔かつ明確に回答: 曖昧な表現を避け、具体的な情報や根拠を添えて回答します。もし不明な点があれば、「確認して後ほどお伝えします」と正直に伝えましょう。
  3. 非言語コミュニケーションの活用:
    • アイコンタクト: 相手の目を見て話すことで、信頼関係を築き、真剣に伝えている姿勢を示します。
    • 表情と声のトーン: 落ち着いた表情と、聞き取りやすい声のトーンで話すことで、安心感を与え、情報が伝わりやすくなります。
    • 姿勢: 背筋を伸ばし、自信のある姿勢で臨むことで、プロフェッショナルな印象を与えます。

これらのコミュニケーション術を意識することで、申し送りの質が向上し、チーム内の情報共有がより円滑になります。

情報収集・整理の効率化と優先順位付けのポイント

中堅・リーダー看護師は、限られた時間の中で膨大な情報を効率的に収集・整理し、申し送りで伝えるべき内容を的確に絞り込むスキルが求められます。

  1. 情報収集の効率化:
    • 重点的に見るべきポイントの把握: 患者さんの疾患、状態、治療計画に応じて、電子カルテや看護記録で特に注目すべき項目を絞り込みます。例えば、心疾患の患者さんなら循環器系の情報、糖尿病患者さんなら血糖値や食事摂取量などです。
    • 「変化」に注目: 基準値からの逸脱、前日からの変化、医師の指示変更など、「変化」があった情報に焦点を当てて収集します。
    • 多職種からの情報活用: 医師、薬剤師、理学療法士、栄養士など、他職種からの情報も積極的に収集し、患者さんの全体像を把握します。
  2. 情報整理の効率化:
    • 自分なりの整理術を確立: メモのテンプレートをさらに洗練させ、自分にとって最も効率的な情報整理方法を見つけましょう。例えば、患者さんごとに色分けする、重要なキーワードだけを抜き出すなどです。
    • 電子カルテの活用: 電子カルテの機能を最大限に活用し、必要な情報を素早く検索・参照できるようにします。申し送り前に、伝えるべき情報を電子カルテ上で確認する時間を設けることも有効です。
  3. 優先順位付けのポイント:
    • 緊急度・重要度で判断:
      • 最優先: 患者さんの生命に関わる情報(急変リスク、緊急処置の有無、バイタルサインの異常)。
      • 次に優先: 今後の治療方針に影響する情報(検査結果、医師の新たな指示、薬剤の変更)。
      • その次: 患者さんのADL、食事、排泄など、日々のケアに必要な情報で、特に変化があったもの。
    • 「なぜ伝える必要があるのか」を自問自答: その情報を伝えることで、次の勤務者がどのような対応をする必要があるのか、患者さんにとってどのようなメリットがあるのかを考え、必要性の低い情報は削ぎ落とします。
    • 「聞き手が知りたい情報」を意識: 次の勤務者がスムーズに業務を開始するために、どのような情報が必要かを予測し、それに合わせて優先順位をつけます。

これらのポイントを実践することで、申し送りの準備時間を短縮し、より質の高い情報共有が可能になります。

リーダーとしての申し送りのポイントと役割

リーダー看護師は、個々の患者さんの申し送りだけでなく、チーム全体の情報共有を円滑にし、新人看護師の指導も行う重要な役割を担います。

  1. リーダーが果たすべき申し送りの役割:
    • 全体像の把握と伝達: チーム全体の患者さんの状況を把握し、特に注意が必要な患者さんや、病棟全体で共有すべき情報を明確に伝えます。
    • 情報の統制と調整: 各担当看護師からの申し送りが重複しないよう、また必要な情報が漏れないよう、全体を統制・調整します。
    • 緊急時の対応指示: 急変や緊急対応が必要な患者さんについては、具体的な指示や注意点を明確に伝達し、次の勤務者がスムーズに対応できるよう準備します。
    • チームの士気向上: 申し送りの場は、チームの連携を深める機会でもあります。ポジティブな声かけや、労いの言葉をかけることで、チームの士気を高めましょう。
  2. チーム全体の情報共有を円滑にするための工夫:
    • 申し送り時間の管理: 長時間にならないよう、各担当看護師に伝えるべき情報の要点を絞るよう促し、時間配分を意識します。
    • 質問の誘導と整理: 申し送り中に質問が出た場合、その場で解決できるものは対応し、後で確認が必要なものは責任を持って引き継ぎます。
    • 情報共有ツールの活用: 電子カルテの活用方法を指導したり、必要に応じてホワイトボードや共有ファイルなどを活用して、視覚的な情報共有を促します。
  3. 指導のポイント:
    • 具体的なフィードバック: 新人看護師の申し送りに対しては、「良かった点」と「改善すべき点」を具体的に伝え、次回の申し送りに活かせるように指導します。
    • 「なぜ?」を問いかける: 新人看護師が情報を伝える際に、その根拠やアセスメントを問いかけることで、思考力を養う機会を与えます。
    • 模範を示す: リーダー自身が、簡潔で分かりやすい申し送りの模範を示すことで、新人看護師は具体的なイメージを持って学ぶことができます。

リーダー看護師がこれらの役割を果たすことで、申し送りの質が向上し、病棟全体の看護ケアのレベルアップに繋がります。

申し送りへの苦手意識を克服する具体的なアプローチ

申し送りに苦手意識を持つ看護師は少なくありません。特に中堅看護師になると、新人指導も加わり、さらにプレッシャーを感じることもあるでしょう。ここでは、苦手意識を克服するための実践的なアプローチを紹介します。

  1. 緊張を和らげるための準備:
    • 完璧を目指さない: 「完璧に伝えなければ」というプレッシャーが緊張を生みます。まずは「必要な情報を漏れなく伝える」ことを目標にしましょう。
    • ルーティンを作る: 申し送り前に深呼吸をする、メモを最終確認する、伝える内容を頭の中でシミュレーションするなど、自分なりのルーティンを作ることで、気持ちを落ち着かせることができます。
    • ポジティブな自己暗示: 「私は必要な情報を伝えられる」「落ち着いて話せる」といったポジティブな言葉を心の中で唱えることも有効です。
  2. 練習方法の工夫:
    • ロールプレイング: 信頼できる同僚や先輩に協力してもらい、申し送りのロールプレイングを行いましょう。実際に声に出して練習することで、話すスピードや間の取り方、言葉遣いを調整できます。
    • 録音・録画: 自分の申し送りを録音したり、可能であれば録画したりして、後で客観的に振り返ってみましょう。どこが早口になっているか、情報が重複しているかなどを把握し、改善点を見つけることができます。
    • 短い時間で要約する練習: 1人の患者さんについて、1分、3分、5分といった制限時間内で要点をまとめて伝える練習をすることで、情報整理と簡潔に話すスキルが向上します。
  3. フィードバックの活用:
    • 積極的にフィードバックを求める: 申し送り後、先輩や同僚に「今日の申し送りはどうでしたか?」「改善点があれば教えてください」と積極的にフィードバックを求めましょう。
    • 具体的なフィードバックを求める: 「もっと簡潔に」といった抽象的な意見だけでなく、「〇〇さんの情報で、△△の部分はもう少し詳しく伝えた方が分かりやすい」といった具体的なアドバイスをもらうようにしましょう。
    • フィードバックを記録し、次へ活かす: もらったフィードバックはメモに残し、次回の申し送りで意識して実践することで、着実に苦手意識を克服していくことができます。

苦手意識は一朝一夕にはなくなりませんが、これらの具体的なアプローチを継続することで、申し送りのスキルと自信を向上させることが可能です。

申し送りの未来:廃止・短縮の議論と業務改善の可能性

申し送り廃止・短縮の背景と現状

近年、医療現場では看護師の働き方改革の一環として、申し送りの廃止や短縮が議論されるようになってきました。その背景には、申し送りが抱えるいくつかの課題があります。

  1. 時間的負担の増大:
    • 患者数の増加や医療の高度化に伴い、申し送りで伝えるべき情報量が増大しています。これにより、申し送りの時間が長時間化し、看護師の残業や休憩時間の圧迫に繋がっています。
    • 特に、勤務交代時に全員が集まって行う申し送りは、その間、他の業務が中断されるため、業務全体の非効率性を生み出す要因とも指摘されています。
  2. 非効率性の指摘:
    • 電子カルテの普及により、多くの情報がシステム上で確認できるようになりました。にもかかわらず、口頭での申し送りに多くの時間を費やすことは、情報の重複や非効率であるという意見があります。
    • 情報伝達の正確性も課題です。口頭伝達では聞き間違いや伝え漏れのリスクが常に伴います。
  3. 看護師の負担軽減:
    • 長時間労働や精神的負担は、看護師の離職率を高める要因の一つです。申し送りの効率化は、看護師の負担を軽減し、より患者ケアに集中できる環境を整えることを目的としています。

このような背景から、多くの医療機関で申し送りのあり方を見直す動きが活発化しています。例えば、定時申し送りの廃止、ベッドサイド申し送りの導入、電子カルテを活用した情報共有の強化などが、具体的な取り組みとして挙げられます。

申し送り廃止・短縮のメリット・デメリット

申し送りの廃止や短縮は、業務改善の大きな可能性を秘めている一方で、慎重な検討が必要です。ここでは、そのメリットとデメリットを客観的に比較します。

メリット

  • 業務効率化と残業削減: 申し送りにかかる時間を大幅に削減できるため、看護師の業務効率が向上し、残業時間の削減に直結します。
  • 看護師の負担軽減: 時間的・精神的負担が軽減され、ワークライフバランスの改善に繋がります。これにより、看護師の定着率向上も期待できます。
  • 患者ケアへの集中: 申し送りの時間が減ることで、患者さんのケアや直接的な看護業務に充てる時間が増え、看護の質向上に繋がる可能性があります。
  • 情報共有の迅速化: 電子カルテなどのシステムを活用することで、必要な情報を必要な時に素早く確認できるようになり、情報共有のスピードが向上します。

デメリット

  • 情報共有不足のリスク: 口頭での申し送りがなくなることで、微妙なニュアンスや非言語的な情報が伝わりにくくなり、情報共有が不十分になる可能性があります。
  • 患者安全への影響: 重要な情報が伝達漏れしたり、誤解が生じたりすることで、医療事故やインシデントのリスクが高まる恐れがあります。
  • 責任の所在の曖昧化: 誰がどの情報を確認し、責任を持つのかが不明確になる可能性があります。
  • チーム連携の希薄化: 口頭でのコミュニケーションが減ることで、チームメンバー間の連携が希薄になり、一体感が失われる可能性があります。
  • 新人看護師の教育機会の減少: 先輩看護師の申し送りを聞く機会が減ることで、新人看護師が情報整理やアセスメントを学ぶ機会が減少する可能性があります。

これらのメリットとデメリットを十分に理解し、自施設の状況や文化に合わせて、最適な申し送りのあり方を模索することが重要です。

効果的な情報共有システム・ツールの活用事例

申し送りの廃止や短縮を進める上で不可欠なのが、効果的な情報共有システムやツールの活用です。これらを適切に導入・運用することで、情報共有の質を維持・向上させることが可能になります。

  1. 電子カルテの最大限の活用:
    • 情報の一元化: 患者さんのすべての情報を電子カルテに集約し、誰でも必要な時にアクセスできるようにします。
    • テンプレート機能の活用: 申し送りで伝えるべき項目を電子カルテ内のテンプレートとして設定し、入力漏れを防ぎます。
    • アラート機能: 患者さんの状態変化や重要な指示があった際に、自動的にアラートが表示されるように設定し、見落としを防ぎます。
    • サマリー機能: 患者さんの入院中の経過や重要な情報を簡潔にまとめたサマリー機能を活用し、申し送り時間を短縮します。
  2. 情報共有アプリ・チャットツールの導入:
    • リアルタイムの情報共有: スマートフォンやタブレットで利用できる情報共有アプリやチャットツールを導入し、リアルタイムで患者さんの状態変化や医師の指示などを共有します。
    • 写真・動画の活用: 褥瘡の状態や創部の変化など、視覚的な情報を写真や動画で共有することで、より正確な情報伝達が可能になります。
    • グループチャット: チームや部署ごとのグループチャットを作成し、必要な情報を一斉に共有できるようにします。
  3. カンファレンスの最適化:
    • 目的を明確化: 申し送りの代替としてカンファレンスを行う場合、その目的(情報共有、問題解決、ケア計画の立案など)を明確にし、効率的に進行します。
    • 参加者の役割分担: 各参加者が事前に情報を整理し、自分の担当する患者さんについて要点を絞って報告する役割分担を徹底します。
    • 定期的な開催と記録: 定期的にカンファレンスを開催し、議論された内容や決定事項は必ず記録に残し、後から確認できるようにします。
  4. ベッドサイド申し送りの導入:
    • 患者さんのベッドサイドで、患者さん本人を交えて申し送りを行います。これにより、患者さん自身も情報共有に参加でき、ケアへの理解と納得感を深めることができます。
    • 情報伝達の正確性が高まるだけでなく、患者さんとの信頼関係構築にも繋がります。

これらのシステムやツールを効果的に活用することで、申し送りの負担を軽減しつつ、情報共有の質を向上させることが可能になります。

他施設の取り組みから学ぶ申し送りの変革事例

実際に申し送りの改善や短縮に取り組んでいる他施設の事例から、自施設での応用可能性を探るヒントを得ることができます。

  1. 定時申し送り廃止と個別申し送りの導入:
    • 事例: ある総合病院では、勤務交代時の全体申し送りを廃止し、各担当看護師が次の勤務者へ個別に申し送りを行う形式に変更しました。これにより、全体申し送りの時間がなくなり、看護師は自分のペースで情報収集と申し送りを行えるようになりました。
    • 効果: 残業時間の削減、情報伝達の効率化、個々の患者さんへの集中度向上。
    • 課題: 個別申し送りでは、病棟全体の状況把握が難しくなるため、リーダー看護師が全体を俯瞰する役割を強化し、必要に応じてミニカンファレンスを実施するなどの工夫が必要です。
  2. ベッドサイド申し送りの全面導入:
    • 事例: 別の病院では、すべての申し送りを患者さんのベッドサイドで行う「ベッドサイド申し送り」を全面導入しました。患者さんの前で情報共有を行うことで、患者さん自身も自分の状態や治療計画を理解し、質問する機会が増えました。
    • 効果: 患者さんのエンパワーメント向上、情報伝達の正確性向上、患者さんとの信頼関係構築。
    • 課題: 患者さんのプライバシー保護への配慮、患者さんの状態によってはベッドサイドでの申し送りが難しい場合があるため、柔軟な対応が求められます。
  3. 電子カルテと情報共有ツールの連携強化:
    • 事例: ある大学病院では、電子カルテシステムとスマートフォンで利用できる情報共有アプリを連携させ、リアルタイムでの情報共有を強化しました。医師の指示変更や検査結果、患者さんの急変情報などが即座に共有され、口頭での申し送りを大幅に短縮しました。
    • 効果: 情報共有の迅速化、伝達ミスの削減、看護師の業務負担軽減。
    • 課題: 新しいシステムやツールの導入には、看護師への十分な教育とトレーニングが必要です。また、情報セキュリティ対策も徹底する必要があります。
  4. 「申し送りシート」の標準化と活用:
    • 事例: 複数の施設で、申し送りで伝えるべき情報を簡潔にまとめた「申し送りシート」を標準化し、活用しています。これにより、伝えるべき情報の漏れを防ぎ、申し送りの時間を短縮しています。
    • 効果: 情報の均質化、新人看護師の申し送り準備の負担軽減、申し送りの効率化。
    • 課題: シートの項目が多すぎると、かえって入力に時間がかかってしまうため、本当に必要な情報に絞り込む工夫が必要です。

これらの事例は、申し送りの変革が単なる時間短縮だけでなく、患者ケアの質向上や看護師の働きがいにも繋がる可能性を示しています。自施設の状況に合わせて、これらの事例を参考にしながら、最適な申し送りのあり方を検討してみましょう。

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まとめ:あなたに最適な申し送りを見つけるために

看護師の申し送りは、患者さんの安全と継続的なケアを支える上で欠かせない業務です。新人看護師のうちは基本的な知識と実践方法を身につけ、中堅・リーダー看護師としては効率化と質向上、そしてベテラン・管理者としては申し送りの未来を見据えた業務改善に取り組むことが求められます。

申し送り改善のためのチェックリスト

あなたの申し送りの現状と課題を把握するために、以下のチェックリストを活用してみましょう。

  • 情報収集・準備
    •  電子カルテや看護記録、患者観察から必要な情報を漏れなく収集できていますか?
    •  申し送り用のメモは、簡潔かつ分かりやすく整理されていますか?
    •  伝えるべき情報の優先順位付けができていますか?
    •  SOAPやSBARなどのフレームワークを活用できていますか?
  • 情報伝達・コミュニケーション
    •  結論から伝え、簡潔に話すことを意識できていますか?
    •  聞き手の状況(忙しさ、疲労度)を考慮した話し方ができていますか?
    •  質問に対して、的確かつ根拠を添えて回答できていますか?
    •  非言語コミュニケーション(アイコンタクト、表情、声のトーン)を意識できていますか?
  • リーダー・管理者としての視点
    •  チーム全体の情報共有が円滑に行われるよう、工夫していますか?
    •  新人看護師の申し送りに対して、具体的なフィードバックや指導ができていますか?
    •  申し送りの時間管理や効率化に取り組んでいますか?
    •  新しい情報共有システムやツールの導入・活用を検討していますか?

状況別:最適な申し送り方法の選び方フローチャート

あなたの経験レベルや状況に合わせて、最適な申し送り方法や改善策を見つけるためのフローチャートです。

  1. あなたは新人看護師ですか?
    • はい → 「失敗しない!看護師の申し送り実践ガイド」を参考に、基本的な流れとメモの取り方、SOAP/SBARの活用を徹底しましょう。先輩からのフィードバックを積極的に求め、練習を重ねることが重要です。
    • いいえ → 次へ
  2. あなたは中堅・リーダー看護師ですか?
    • はい → 「申し送りを「できる」に変える!効率化と質向上のコツ」を参考に、コミュニケーション術、情報収集・整理の効率化、リーダーとしての役割を強化しましょう。苦手意識がある場合は、具体的な練習方法を試してみてください。
    • いいえ → 次へ
  3. あなたはベテラン・管理者看護師ですか?
    • はい → 「申し送りの未来:廃止・短縮の議論と業務改善の可能性」を参考に、申し送りの現状と課題を分析し、情報共有システムやツールの活用、他施設の事例を参考にしながら、自施設に最適な申し送りの変革を検討しましょう。

申し送りは「情報共有」の本質を理解することから

申し送りの形式や方法は時代とともに変化していくかもしれませんが、その本質は「患者さんのための情報共有」であることに変わりはありません。形式にとらわれすぎず、いかに患者さんの安全と質の高いケアに繋がる情報を、正確かつ効率的に共有できるかを常に考えることが重要です。

もし、現在の職場の申し送りの方法に疑問を感じていたり、自身のスキルアップに限界を感じていたりするなら、それは新しい環境であなたの力を試す良い機会かもしれません。より良い情報共有の仕組みを持つ職場や、あなたのスキルをさらに伸ばせる環境を探してみるのも一つの選択肢です。

この記事が、あなたの看護師としてのキャリアにおいて、申し送りという重要な業務を自信を持って実践し、さらに改善していくための一助となれば幸いです。

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この記事を書いた人

国家資格キャリアコンサルタント。人材紹介・人材派遣業界にて約10年にわたりキャリア支援業務を経験。新卒・第二新卒からミドル層まで、累計2,000名以上のキャリア相談を担当。

企業の採用担当者としての経験も持ち、求職者・企業双方の視点から的確なアドバイスを行うことを強みとしています。現在はキャリアに関する専門記事の執筆や講演活動を行い、「働く人のキャリアを豊かにする情報発信」に取り組んでいます。

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